カタシロリビルド大成功おめでとうございます!私はTRPGというものに触れる前に、舞台演劇に非常に強い興味を持っていまして、子供の遊びの延長のようなものでしたが、演劇部をやっていたこともあります。
そんな私と演劇への思いやら色々な感情をだらだらと語りたいと思います。
初めて『劇』というものをやったのは多分、小学校4年の頃だったと思います。
班ごとに出し物をするレクリエーション的な時間でした。
班長が言いました。「うち桃太郎のその後やるから」
我々は驚きました。だって練習していないのです。
しかし班長は言います。
「大丈夫大丈夫。適当にやってればなんとかなる。あ、お前鬼の子分ね。適当にチャンバラしてバタンて倒れるだけだから」
そういうものか。
台本を読む人、復讐に燃える鬼の頭領役の班長、桃太郎、犬、猿、雉、そして鬼の子分である私が机を下げて作られた空間に飛び出し、読まれた台本のとおりに動く。
それだけの劇でした。
しかし鬼の復讐はならず、桃太郎に返り討ちに合う、というストーリーです。
私の出番は後半でした。そして出ていき、台本には確か「鬼の子分には犬、猿、雉が飛びかかりました」と書いてありました。書いてありましたというか、耳で聞いただけなので「まじか」と思ったのですが。
私は犬猿雉に程々に見せ場を作りつつ倒れました。
しかし桃太郎と一騎打ちをしていた頭領は既に倒れていました。
後で「あれじゃ子分の方が強く見えるだろ!」とお叱りを受けました。そんな事言われたってなぁ。
まぁ、私は割と目立ちたがり屋でもありまして、そんな感じの子供のごっこ遊びの延長のような劇を色々やりました。たいてい私はやられ役でした。
ある時は「番長」という役を振られ、「なんで私が!」と驚き委員長(その時は美化委員の啓蒙劇みたいなアレでした。花壇に入っちゃいけません的な)に聞くと、「いや、番長ーって呼ばれてお前みたいなちっこいのが出てきたらウケそうじゃん」と言われました。
当時の私はほそっこく、学年で前から数えた方が早いレベルのチビでした。まぁ確かにギャップはあります。
で、そんな感じで私が初めて生で「演劇」を見ることがあったのです。
何故か、校内の児童が集められ、校長先生が言いました。
「今日は市内で活動されている劇団の方たちが劇を見せてくれます」とのことだったのかどうかももう覚えていないのですが、ともかくそんな感じでした。
私はちびだったので最前列。目前で広げられた劇の演目は「ふしぎなかぎばあさん」でした。
とても面白かった。かぎばあさんの優しいけれどどこか奇妙で不気味な喋り方。
こういちくんの訝しる空気。
演者は多くはありませんでした。
けれど、こじんまりとした立板のセットと、演者さん、そして観客である我々の間には確かに空気が違うのです。
これが演劇か。幼い私は衝撃を受けました。
それから、私は演劇部にも入りました。1年かけて練習したおおきなかぶ。私の役はねこでした。にゃんにゃん。
後で出てくるねずみとひと悶着起こすトラブルメーカーでした。
まぁ、それもいいでしょう。大事なことじゃないです。
問題は「私は生で劇を見たのはその一回きり」だということです。
いや、修学旅行で狂言は見たかな。演目は附子でした。定番のやつですね。うまやうまや!
まぁ、とにかくそんなもんでした。
じゃあなんでこんなに演劇に惹かれているのか。
私の家にその理由はありました。
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我が家は何故か「なにも受信していないはずなのに衛星放送が見られる」という不思議現象が起きる家でした。
(親になぜか聞くと「近くを新幹線が走っているから」らしいのですが、今でもよくわかりません。大家さんがお金を払って受信してくれていたのかもしれません)
まぁ、ともかくそんな訳でNHK衛星放送が見られたんですね。あと有線チャンネルとか。
当時、NHK衛生ではちょくちょくド深夜に舞台を放送していました。
ナイロン100℃、野田地図、劇団そとばこまち、色々見ました。どれもとても面白かった。
中でも私がのめり込んだのは劇団☆新感線でした。
中島かずきさんの劇団と説明すれば早いでしょうか。仮面ライダーフォーズとか、グレンラガンとか、キルラキルの脚本を書いてらっしゃる作家さんですね。
一番「新感線みたい」と感じたのはキルラキルですね。あの猛スピード。目を離せない、目を離したらもう別のシーンに移ってる感じ。
あれを、生の、人間が、演じていると想像してください。
常に誰かがボケ、誰かがツッコみ、誰かがなんかしてて、なんかしらんけどいつの間にか話が進んでいる。
そんな劇を、新感線はしていました。
私がきちんと最初から最後まで見られたのは「星の忍者」と「ドラゴンロック轟天」だけですが、ビデオテープで、それこそ擦り切れるまで見ました。
星の忍者でデーモン閣下の歌に魅了されました。
それから聖飢魔IIを聞き出したのもいい思い出です。
好きな曲は『ファラオのように』です。
轟天はもう、橋本じゅんさんの当たり役ですよね。
むしろ轟天=じゅんさんと言っても過言ではないと思います。
いや、星の忍者の厄兵衛も好きですけどね。
「……霧花♡」
「霧花♡じゃない!」まぁ、ともかく、それほど劇団新感線との出会いは衝撃でした。ロック、歌舞伎、殺陣、ダンス、なにもかもがごちゃごちゃになって、ものすごいライトと共にドカンとこっちに押し寄せてくる。
そして、その後、私は運命の演劇に出会うのです。
そのタイトルは『こどもの一生』。絶海の孤島にある、診療医療施設、MMMクリニックランド。
一時的に催眠術で「10才のこども」になり、大人の常識に刷り込まれ、揉まれ、練り込まれた世界から解き放たれ、やがて自分の力で本当の意味で自立した「本当の大人」に戻る治療。
わかりましたか、東堂くん!
「むずかしくってわかんない!」
わかりましたか、じゅんちゃん!
「え? え? え?」
わかりましたか、ゆみちゃん!
「あ。すみません、聞いてませんでした」
それでいいのです。
(おおー、という歓声)
とまぁ、こちらもほとんどのセリフをそらで言えるくらいに見ました。
そして、話はズレます。私はオンエアバトルでラーメンズに出会いました。
まぁラーメンズの話をするとこれまた長くなるので、それは別に語らせていただきたい。
話を戻しましょう。
こどもの一生の主人公は『柿沼』というさえない印象の社長秘書。
彼はこの土地を買い取る為に視察としてMMMに患者として紛れ込んだ『光友』という社長のお供としてやってきました。
『柿沼』さんは武道の達人であり、ありとあらゆる武道を極め、全部合わせると20段以上あるらしいです。
特に得意なのは毎夜の日課になっている頭突き。
常に高圧的な光友社長のお供をしているとストレスがたまる。その解消法が、壁に頭突きをすることでした。
壁に頭突きをすると、とても痛い。痛いけれど、やめると痛くない。それがとても気持ちいい。
一種の変態めいた行為ですが、それが彼の唯一のストレス解消法でした。
翌日、患者であるプログラマー、コールセンター苦情係、過去売れっ子アイドルだったが現在は売れない女優、そして社長とその秘書は薬を飲まされ、催眠術をかけられます。
精神のみが10才の子供になった患者たち。
しかし、光友、もとい『みっちゃん』の高圧的な態度は変わらず、常に柿沼、もとい『かっちゃん』を従えていばっていました。
最初こそ『こどもになったふり』だったみっちゃん、かっちゃんも徐々にこどもに戻っていきます。
しかし、いじめっこ気質なのは元々だったようで、暴力的な行動で皆を従わそうとするみっちゃんに反感をおぼえた東堂、じゅん、ゆみは一案を練りました。
みっちゃんだけ知らない遊びをしよう。
みっちゃんだけ知らないことで盛り上がれば、みっちゃんは孤立するはずだ。
けれどそれって何だろう?
そしてこどもたちは架空の共通の知人のおじさん『山田のおじさん』という存在を作り上げました。
かっちゃんもしっかりと巻き込み、山田のおじさんの話題で盛り上がるこどもたち。
山田のおじさんは子供好き。
山田のおじさんはとても早食いで大食い。
山田のおじさんはつまらないジョークを言う。
山田のおじさんは、山田のおじさんは……
どんどん膨れ上がる『山田のおじさん』という架空の存在の設定。
そして、増長していくこどもたちの想像力。
一方、孤立したみっちゃんもひょんなことから『山田のおじさん』の存在を知ります。そして、他のこどもたちがこっそり作っていた『山田のおじさんの設定』にこっそり『ある一文』を書き加えます。
その夜、診療所に訪問者がやってきます。曰く、灯台の管理をしているというその男。
彼は自らを『山田』と名乗ります。
こどもたちの考えた設定と同じ行動を取る『山田のおじさん』。
設定どおりの早食い、大食い、そしてジョークが好きで子供好き。東堂、じゅん、ゆみ、かっちゃんにも旧知のように振る舞います。
そして「最近会った気がする」とみっちゃん言い、「一緒にお風呂に入ろう!」と誘います。怯えるみっちゃん。何も出来ず混乱するこどもたち。
直後、婦長の井手の悲鳴が響き渡ります。そして、お風呂場で溺れたみっちゃんが発見され……そして、こどもたち、そして医療従事者たちも巻き込んだ恐怖の夜の幕が上がる……。といったあらすじです。
序盤はとにかくギャグいっぱい!の面白い舞台です。
しかし、山田のおじさんが現れてから空気は一変します。
何故架空の存在が現れたのか。
光友が書き加えた山田のおじさんの設定は?
ゾワゾワと忍び寄る恐怖は、きっとこの舞台でしか味わえません。だって、こどものころなら、きっと皆一度は作ったことがあるはずなんです。『山田のおじさん』ではなくても、『イマジナリーフレンド』と呼べるような存在を。
もしも、その人が、本当に現れたら?
私は多分、舞台で一番好きなのはこの『こどもの一生』だと思います。
中島らもさんが書かれた小説も読みました。
狂気じみたあの文章。そして、奇妙な読後感。
同封されていたCDの不思議なメロディ。
私は2012年の公演は見たことがありません。
一体どのような公演だったのでしょう。
いつかなんらかの機会を作って見たいものです。
以上、私と演劇の思い出でした。
少しだけカタシロリビルドの話をしましょう。
私はカタシロリビルドは演劇でもなく、即興劇でもなく、カタシロリビルドという名前の『箱』だと思っています。
記憶を失った『マコト』と呼ばれる患者である主人公が、『医者』やもうひとりの患者『アユム』との交流を経て、そして、自分で見て、感じて、得た情報から、何を思うのかは、全公演違う『マコト』役の方に委ねられています。
きっと詳しくはカタシロリビルドジャンキーの方がTwitterなどでおすすめ公演などを紹介している画像があるはずですので、そちらをどうぞ。
私的には初演から千穐楽まで見ていただきたいですが。
全編無料公開中。
好きな演者さんの回を噛みしめるように見るもよし、色々な演者さんの思いを馳せるもよし。
脚色、誇張なく、全てが違う道筋、違う結末です。『最後』を締めくくるマコトの言葉は、全編、全て違います。
是非見てください。
TRPGの『カタシロ』を先にやりたいという方がいらっしゃるなら、それも良いでしょう。
もしあなたが私の知人などであるならば、回しますよ?(´∀`*)ウフフPR