裏背景・そもそも。パナスィーア
1〔P-〕《ギリシャ神話》パナケイア(◇治療の女神)
2万能薬(cure-all)
2a(あらゆる問題の)解決策≪for≫
(引用:goo辞書)
はい。老魔術師にとってのパナスィーア。
イチちゃんその人(人じゃないけど)です。
本編で男性たちがなんか意味ありげに宝があるだのなんだの言ってましたが、イチちゃんですね。
イチちゃんってなんなの、というのは、各ルートのキャラが言う通り、完全な万能薬(エリクシール・エリクサーと言った方がピンと来る人が多いかな?)を精製し続ける賢者の石を秘めた、感情を持ったホムンクルスです。
ただ、あまりにも完全過ぎて再現性が低く、原初にして最高のホムンクルスとして存在し続けています。
それをケアし、守り、助けるのが残された魔術師のシズク、ランドール、フィンの仕事です。
・世界背景この庭の中は結構平和ですが、戦火の耐えないという雰囲気。
老魔術師はエリクシールの研究を続けていて、その一環としてエリクシールの無限精製を可能とできるホムンクルスの研究に明け暮れています。
その最中に奇妙な蛇が現れ、手伝うから人間にしてよ、と言い、魔術を教えます。
が、如何せん蛇には『腕』という概念がなく(歩行する必要があるとは思っていたので足はある)、腕のない人間になりました。
困惑している蛇に老魔術師は魔力で動く腕を拵えてやった、という訳です。
フィンがタバコを吸っているのは嗜好の意味合いもあるでしょうが、『腕や指を駆使したい』からかもしれません。
いや、わかんない。今思いついた。
で、戦況もいよいよヤベーってなった時に老魔術師も戦場に駆り出される訳です。参謀とかそういうアレかな。あとエリクシールを無限ではありませんが作れるという意味もあり。
で、数体の不完全なホムンクルスを連れて行ったのですが、その中の一体が、戦火に沈もうとしている村で拾った少年がランドール。
生活能力皆無だった老魔術師と人間としての常識の薄いフィンの生活環境は彼が来てからぐんと向上しました。
そして、その時にランドールを助けた『心のない』はずのホムンクルスをベースにして作られたのがイチです。
フィンはあれでも割と魔術師としては優秀なので、彼の助力や、人外ならではの突飛な助言もあったはず。
そうして数多の試作品を経て完成したのがイチ。
それから『完全なホムンクルス』の量産を整えようとしますが、戦場でホムンクルスたちがただの動くエリクシールとして使い捨てにされるのを見て苦悩していた彼は再び考えます。
永久機関を持ったホムンクルスを量産することは是か非か。
そうこうしている間に彼に病魔がせまります。
生産コストの高いイチとは違う、量産に耐えうる(それでもイチと同等、或いはそれ以上、ただし完全なエリクシールの無限精製は不可能な)ホムンクルスのシズクを作ることは出来ましたが、彼は我が子たちを食い殺し、エリクシールを奪うことは出来ませんでした。
このあたりは老魔術師の研究室(三人が揃う唯一のマップに二週目から入れます)の日記に書いてあります。
是非読んでみてください。
個人的に人間の心という概念に混乱してるじっちゃんが好きです。
・『シズク』
アイドルソシャゲの子がいる……。と言われた陽キャメガネ。
その正体はイチの後続機、高い感受性と知能を持ったホムンクルス。
ですが体内で精製できるエリクシールはイチには遠く及びません。
シズクくん本人がどう考えているかはともかく、老魔術師は永遠に生き続けるイチの心の支え、或いは救いになる存在として後続機を作り続けていたのかなぁ、と思っています。
ランドールはいつか死ぬし、フィンも心から信用はできない。
だから久遠の命を持つ我が子であるホムンクルスを弟子とした。
シズクくんが強い自我と強い感性を持って存命できたのが老魔術師の最期の救いでしょう。(感受性が強すぎて陽キャに振り切った可能性もあるな、と今思いました)
シズクくんの同機体は他にもいましたが、感情が欠如していたり、賢者の石が不完全で生存できていません。
後続機はたくさんいましたが、現存する彼がイチちゃんの唯一の弟です。
彼がメガネをつけているのは、イチが有事の際にエリクシールを分け与えるとなにかが削がれる(彼の場合は視力)からかな、と思ったりしています。いや、わかんないですけどね。
・『ランドール』
魔術を学び、学ぶことを楽しめる才覚はありましたが、肉体が魔術に耐えられなかった……という設定でタトゥーを彫っています。
あと多分見えないところに火傷の跡がある。
戦災孤児だから見えるものもあったりするのかな。
老魔術師はそういう人間としての感性をランドールくんに求めていたのかも知れない。
魔力の強いものを直接触ると多分なんか感電みたいになるのかな。ビリビリいてて、って。
バラ園を手入れ、というアレもですが、そういう意味の手袋かもしれない。
彼は魔術師として、というよりも世話係、墓守、園丁としてこの庭に留まっています。
彼のエンドのひとつにイチを逃がすものがありますが、彼が面倒を見ているホムンクルスは他にも多数います。
不完全ながらも生き延びている多数のホムンクルスを世話しています。
タイトル絵にいる、イチと同型のホムンクルスたちがそうでしょうね。
私の中では感情が欠如していたり、肉体だけ残って呼吸もしているけれど動くことができないホムンクルスたちの世話もしている……と思っています。
彼にとっての庭は、自分が手掛けなくては朽ちてしまう弱い存在がいる世界なのかもしれません。
彼がいつか救われたように、彼も誰かを救い続けたいのかな。いや、ランドールくん多分そこまで考えてないよ。
奇しくもこの庭で唯一の人間ですね。
・『フィン』
自分の担当キャラだから好き勝手に書くぞ!イエイ!本名はパトリック。彼のルートに入ると現れる蛇がリッキー、と読んでいましたが、パトリックの愛称です。
彼が人間になりたかった理由は彼のみぞ知る、ですが、純粋に人間が楽しそうに見えたんでしょうね。割と享楽主義者なのかも。
今作は『ケルト曲を使うぞ!』という強いこころで作られたと思っていまして、私も本作で使用された曲をガンガンリピートして聞いています。
皆買おうな!!いい曲だぞ!!
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ケルト音楽素材集 びーみゅ で、ケルトの民話とかケルト神話とかをいっぱい調べたんですが、そもそもアイルランドって蛇がいないらしいんですよね。で、そのアイルランドから蛇を駆逐したと言われてる聖人の名前が聖パトリック。本名はそこからあやかりました。
フィンという名はゲール語です。『白』『美しい』『金髪の』という意味。名付けたのが老魔術師か、フィン自身かは知りませんが、老魔術師なら『白いから』、フィンなら「えー、人間の僕美形じゃなーい?」みたいに茶化してこう名乗ってるのかな。知らんけど。
いや知っとけよ。そんなフィンおじ、
両手義手です。あいぼりーことruder先生から「フィンさんどこから腕ないの?」って聞かれた時に秒で
「肩」と答えてますね。蛇だしね。
で、彼のモチーフ。
『コーンスネークブリザード』というめちゃめちゃ可愛い蛇さんです。
ある方が飼育していて、一目惚れしました。爬虫類大丈夫な方はググってみてください。
バチバチにきゃわわです。
ビジュアル的に言うなら「ロン毛のキャラ考えたことないなぁ、蛇だしロン毛がいいなぁ」という意味でポニテにしてもらっています。
ここで自分に『ポニテおっさん』という概念がないことに気が付きビビりました。
多分最初はぞろっと流してたんでしょうが、「邪魔!」ってなって腕を貰ってからは括るようになったんじゃないかな。
フィンおじ、本編で若干触れられていますが、実は見た目が変わりません。少なくとも20年前からこの姿です。
人間として生きる時にこの姿に固定されました。(なので、今更腕が欲しいなぁ、と思っても生やせないんですね。可哀想だね!)
自分が蛇であったというアイデンティティも捨てたくなくて、邪魔だと思っても髪が切れない、とかなのかな。多分そう。
それはそれとして強欲な彼は、腕も得て人間として完全になりたくて完璧なエリクシールを求めています。
イチはそれを持っていますが、彼はいよいよ、という事が無い限りイチを捕食するつもりはありません。
それはそれとしてあらゆる『欲望』の対象でもあります。
ですが、彼が慕う師匠である老魔術師が愛娘と思っていたことも知っているので、それをするのも出来ず迷っている、というジレンマに陥っています。
だがら彼は問うたのでしょう。留め針と縫い針の話。
あれは「赤ずきん」の話のひとつでもあります。
時間のかかる縫い針の道を行くと言った赤ずきんは、早く留められる留め針(まち針ですね)の道を選んだ狼に先回りして食べられた、というやつです。
フィンは本編で触れていたようにそう解釈したので「自力で賢者の石を作り出す」か、手近にある「完全な賢者の石」を秘めたイチを捕食するか。自分で決められないのでイチ自身に決めさせた。ずるい男ですね。
まぁ蛇ですし。
なお、【蛇】【白い】【腕がない】【白衣】【ずるい】等で『アッ』て思った人には笑って「そうだよ」と言っておきます。・『イチ』
老魔術師が名付けていた名前について。
『ヘレン』
ギリシャ神話の女神ヘレネーが有名。
絶世の美女で争いの原因になった。
彼女もそういう火種を起こしかねないな、という事で。
と、まぁ、あれやこれや書きましたけど、
これは全部シナリオを任された私が「こうなんじゃないかなぁ……」と思っていることです。
シズクくんはあきら先生の子だし、ランドールくんはruderさんの子です。
私が案出したフィンおじは明確に「こう!」と言えますが。
皆さんの見えた箱庭の世界が、全てであると思えます。
また、是非、あの美しい庭を歩いてみてください。
Bcarでした!
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